中3から高2の冬まで通った鉄緑会をやめて小さな塾に移動した時もまだ、医科歯科希望なんて言ってたな。
この移動した塾が息子を大きく変えました。
後から聞いた話ですが、入塾してしばらくして講師から
「例年なら、お前がここのトップだっただろうな」
と言われた息子の目の前には、恐ろしいほど優秀なクラスメイトが立ちはだかっていたそうです。
暁○に通うその彼は、全てのクラスで息子と一緒でしたが、息子がどんなに頑張っても8:2で負けていたそうです。理Ⅲを目指せると言われるほどの優秀な彼でしたが、何が何でも現役にこだわっていたそうで関東の別の医学部に進むことになりました。
息子曰く、この彼の存在こそが全てだったそうです。
彼に追いつきたいから必死に頑張った。
時折勝てた時は本当に嬉しくて、また頑張ろうと思った。
そう話してくれました。
講義があっても無くても毎日その塾に通い、自習もして、最終電車で帰宅するといった生活を、高3の春から夏休み、2学期と休むことなく続けました。
その間、自宅では1秒も勉強せず、私が見ていたのは携帯で動画をみている姿ばかりでした。
模試も、判定がきちんと出るようにまともに受け切ったのは、秋の冠模試とセンタープレだけでした。
その判定もB判止まり。
親が安心できる材料はどこにもありませんでした。
でも息子は、自分のやり方を崩すことなく淡々としていました。
何をどうしていたのか、私には本当に分かりません。
分かっていたのは、毎日塾にいるらしく、終電で帰ってくることだけ。
自分で合格までの道筋をきちんと描いているのだろうと、見守るしかありませんでした。
なぜ、こんなに怪しい行動ばかりの息子に口出しせず見守れたかというと、中学に入学して最初の担任が私たち母親に話した言葉が、楔のように耳に焼きついていたからです。
「皆さんは男性ですか?
東大、京大、もしくは旧帝医学部に合格されたことがありますか?
皆さんのお子様は、お母様方とは違う男性であり
そのレベルを目指していきます。
お母様方の経験や想像やアドバイスは、なんの役にも立ちません。
むしろ彼らには害にしかなりません。
どんな態度や方法で勉強しているか、気にしないでください。
美味しい食事と温かい家庭を提供することだけに専念してください。」
ガツンと頭を殴られたようでしたね笑
ああ、この子達は私たち母親の想像を超えた世界を目指していくんだ。
私達の手でそれを阻んではいけないな、そう思いました。
続きます。